【比較】 HiPIMSコーティングとダイヤモンドコーティング

適切なコーティングの選択は工具のコスト最適化の上で非常に大切な要素となります。

こちらにHiPIMSコーティングとCVDダイヤモンドコーティングの違いを比較しましたので、コーティング選定の参考にしていただけたら幸いです。

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比較のまとめ

比較項目 HiPIMSコーティング CVDダイヤモンドコーティング
硬度 高い(PVD技術の中では最高クラス) 極めて高い(ダイヤモンド)
耐摩耗性 優れている 非常に優れている
耐熱性   高温下で安定 高温に弱い場合あり(酸素環境では700℃以上で酸化)
摩擦係数 低い 非常に低い
付着力 非常に強い 強いが、鉄系材料には不向き
コスト 比較的安価 高コスト
工具寿命 長い 非鉄金属・複合材料では非常に長い

比較の詳細

HiPIMSコーティング CVDダイヤモンドコーティング
1. コーティング技術の違い HiPIMS(高出力インパルスマグネトロンスパッタリング)は、物理蒸着 (PVD) 技術の一つで、高いイオン化率を持つプラズマを利用して、工具表面に高硬度の薄膜を堆積させます。これにより、非常に密度が高く、付着力に優れたコーティングが可能になります。一般的にTiNやCrN、TiAlNなどの硬質材料が使われます。 化学気相成長 (CVD) 技術は、炭素を基にしたガ スを高温で化学反応させ、人工ダイヤモンドを 工具表面に堆積させるプロセスです。CVDダイ ヤモンドコーティングは、非常に硬度が高く、 耐摩耗性に優れたダイヤモンド膜を形成します。 天然ダイヤモンドに近い特性を持つことが特徴 です。
2. 硬度と耐摩耗性 HiPIMSコーティングは、非常に高い硬度を 持つ金属化合物の薄膜を堆積するため、耐 摩耗性に優れています。通常のPVDコー ティングよりも密度が高く、硬度が高いこ とから、工具の耐摩耗性が向上しますが、 CVDダイヤモンドコーティングには及びま せん。 ダイヤモンドは、天然物質の中で最も硬いため、 CVDダイヤモンドコーティングはHiPIMSよりも 圧倒的に高い硬度と耐摩耗性を持っています。 特に、非鉄金属や複合材料など、加工が難しい 材料に対して極めて優れた性能を発揮します。
3. 耐熱性  HiPIMSコーティングは高温環境での安定性 に優れ、特に高温での摩耗や酸化を抑える 能力があります。TiAlNなどのコーティング 材料を使用することで、非常に高い耐熱性 を得られます。高温下でもコーティングが 剥がれにくく、工具の寿命を延ばすことが 可能です。 ダイヤモンドは非常に高い耐熱性を持っていま すが、酸素の多い環境では700℃を超えると酸 化し始めるため、高温での使用には限界があり ます。鉄系材料の加工では、ダイヤモンドがグ ラファイト化しやすくなるため、特定の条件下 ではHiPIMSよりも劣る場合があります。
4. 摩擦係数 HiPIMSコーティングは摩擦を低減するためのコーティング材料も使用でき、特に高滑性のコーティングを施すことで加工効率を向上させますが、CVDダイヤモンドコーティングほどの低摩擦性は得られません。 ダイヤモンドは非常に低い摩擦係数を持っており、切削時の発熱を抑制し、滑らかに切削を行うことができます。このため、アルミニウムや銅など、軟らかく粘性の高い材料の加工に最適 です。
5. 付着力 HiPIMSは高いイオン化率を持つため、コー ティングの密着性が非常に高いのが特徴です。特に、基材との強固な結合が可能で、 耐久性が高く、剥離が少ないことが強みです。 CVDダイヤモンドコーティングも非常に強固な付着力を持っていますが、基材が硬すぎたり柔らかすぎたりすると、剥離のリスクが高まります。特に、鉄系材料との相性が悪く、これらに対しては付着力が劣ることがあります。
6. 適用対象材料 HiPIMSコーティングは、鉄鋼や耐熱合金、チタン合金、ステンレス鋼など、幅広い材料に対応できます。特に高硬度の材料や高温環境での加工に適しています。 CVDダイヤモンドコーティングは、アルミニウム、銅、グラファイト、シリコン、CFRP、GFRPなどの非鉄金属や複合材料の加工に非常に効果的です。ただし、鉄系材料(鋼や鋳鉄)には不向きです。これらの材料ではダイヤモンドがグラファイト化してしまうため、性能が発揮できません。
7. コスト HiPIMSはPVD技術の一種であり、CVDダイヤモンドコーティングに比べて設備やプロセスが比較的安価です。そのため、工具のコストパフォーマンスを重視する場合に選択されることが多いです。 CVDダイヤモンドコーティングは、ダイヤモン ドの生成が時間とコストのかかるプロセスであるため、一般的にHiPIMSよりも高コストです。しかし、その耐久性や高い性能を考えると、特定の用途では費用対効果が高いと言えます。
8. 工具寿命 iPIMSコーティングは、耐摩耗性が高く、 長寿命の工具を提供しますが、CVDダイヤモンドコーティングには寿命で及びません。特に、高硬度材料の加工では有効ですが、軟らかい材料や粘性のある材料の加工では寿命が短くなることがあります。 CVDダイヤモンドコーティングは、ダイヤモン ドの生成が時間とコストのかかるプロセスであるため、一般的にHiPIMSよりも高コストです。しかし、その耐久性や高い性能を考えると、特定の用途では費用対効果が高いと言えます。

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